どうも!くまweb広報ノダです!
みなさん、最近AIの勢いすごくないですか?
ポスターもチラシもバナーも写真やイラストに何だか違和感を感じたら実は全部AIで生成されてた!なんて日常茶飯事。
そしてその違和感(不気味の谷というやつですね)も日々なくなって自然になってます。
とはいえ、たくさんの問題も抱えています。
そのひとつが「著作権」です。
AIの画像生成はインターネットやその他のビッグデータをたくさん取り込んで、そこから学習した内容でアウトプットしています。
よってプロンプト(指示文)次第では某人気漫画にそっくりなイラストや大人気女優にそっくりなモデルの写真を生成することも可能です。
普通に考えたら間違いなくアウトな感じですが、AIの画像生成は世の中のルールを大きく変えるような大きな転換的技術であり、進歩のスピードが早すぎて社会や法律の整備が追いついていないのが現実です。
今日はそんな生成AIと著作権について書いていきたいと思います。
そもそも生成AI画像に著作権はあるの?

まず押さえておきたい前提としては
日本の著作権法では「著作物=人間の思想・感情を創作的に表現したもの」と定義されています。
そのため、AIが自動生成しただけ、人間の創作的関与がほとんどない、といったケースの場合、画像そのものに著作権は発生しにくいと考えられています。
この見解は文化庁の資料や有識者の解説でも繰り返し示されています。
それではプロンプトを書いた人に著作権は発生するのか?
ポイントは「創作性の度合い」になるかと考えられます。
「青空と海の写真」などのテンプレ的な短文プロンプトなど
こうしたケースでは、創作性が低く、著作権は認められにくいでしょう。
一方で、構図・光源・色味・世界観を細かく設計・試行錯誤を重ね、意図した表現を作り込んだ場合、
人間の創作的関与が認められる可能性はあります。
ただし現状では、
「確実に自分の著作物と言い切れる」
というほど判例が積み上がっているわけではありません。
日本で実際に起きている生成AI×著作権トラブル

「理論上の話」ではなく、日本国内でも現実に問題は起きています。
AI生成画像の販売が著作権侵害として問題になっており、特定の既存イラストやキャラクターを強く想起させる画像を
生成AIで作成し、販売・配布した行為が問題視された事例があります。
重要なのは「AIが作ったかどうか」ではなく、既存の著作物とどれだけ似ているかという点です。
また、日本の公的機関が、AI生成イラストを広報物に使用したところ、
「著作権的に問題があるのでは?」
「学習元は大丈夫なのか?」
といった批判が集まり、公開・配布を見直す事態になりました。
海辺でほほ笑むアニメ風女性イラスト、生成AI作製に「著作権侵害」の批判…海保がパンフ配布取りやめ
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240402-OYT1T50125/
「公的機関が使っている=安全」ではないということを示しています。
AIに関する法整備がまだ不十分であることを証明している一例ですね。こわいこわい。
その他にも写真コンテストで最優秀賞を受賞した作品がAIであった事例もあります。
AI作成画像、有名写真コンテストで最優秀賞を獲得 作者は受賞辞退
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65308190
コンテスト系のAI問題はちょこちょこ聞きますね。ほとんどのコンテストは審査側はほとんど利益のでない構造で頑張ってる場合が多いので、このAIに関する審査の労力増大は非常に懸念される問題だと思います。(AIをAIで判断するプログラムつくってほしい)
また非常に難しいのがスシローの事例です。
スシロー、AIが生成した画像連投が物議…著作権法上、問題になる可能性も
https://biz-journal.jp/company/post_338233.html
何かのトレースやパクリではないのですが、そもそも企業が「AI画像」を使うことはどうなのか?という形で炎上をしました。
「AI=誰かのイラストや著作物を取り込み生成する」という考え方で、そういったツールを大企業が使うことの倫理観を問われたわけです。
いやーさすがに厳しい世間の論調な気もしますが、AI生成についてはまだ受け入れている人と毛嫌いしている人のハレーションがとても強いので炎上の火種になりがちです。
学習元データ問題はどうすればいいのか?

それではスシローの事例のようなAI画像そもそもを否定するような学習元データ問題はどうすればいいのでしょうか?
日本では、著作権法30条の4により情報解析目的の学習行為自体は原則OKとされています。
つまり、AIが既存の画像・イラストを学習した場合 それ自体は違法とは限りません。
しかし、ここで重要なのは、「学習」ではなく「出力」です。
Web制作者が責任を問われる可能性があるのは、
出力結果が特定の既存作品に酷似していたり、明確に元ネタが推測できる「依拠性(元にしていること)」が認められるケースです。
例えば下記のようなプロンプトで画像生成をした場合、かなり依拠性のリスクが高くなります。
・「◯◯(作品名・キャラ名)風」
・「有名イラストレーター◯◯っぽく」
・「あのアニメの主人公みたいな」
しかし、この辺もはっきりとしたラインが引かれているわけではないので、かなり際どいプロンプトで生成している人も多いのが現状だったりします。
とはいえ、制作業の人は既存の著作物に寄せるようなプロンプトは入力しないほうが良いかと思います。
生成AIでつくったものは商用利用はしていいのか?

多くの生成AIサービスは「商用利用OK」と明記しています。
しかし、ロゴといったシンプルな造形のものは既存のロゴと非常に似通ったものが生成される可能性があるので推奨していない事が多くあります。
同じ理由でメインビジュアルに使用する場合も非推奨とすることがあります。
規模の大きな企業のロゴやビジュアルは多くの人の目に触れるため、それだけ何かしらの似通ったものが見つかり依拠性を主張されるリスクが高まります。
また、AIで生成したものは「著作権を主張できない」というリスクもはらんでいます。
多くのAIでは「生成物の著作権は主張できないあるいは非独占利用」となっています。
つまりクライアントが「独占的に画像を使いたい」といっても不可能だということです。
ということはその画像を別の会社が使用しても文句が言えないということになります(フリー素材に近い感覚ですね)
さらに懸念すべきことは「AI生成のルールが今後大きく変わる可能性がある」ということです。
先で述べたようにAIに関する著作権等の法整備はまだまだ整っていません。
現時点でAIで生成したものをクライアントワークに使いすぎてしまうとルールが変わった時の対応に追われることになります。
クライアントワークでの現実的な対策

結論としては法律を完璧に理解するより、事故らない運用が大切だと思います。
まず前提として、素材サイト、フリー画像、AI生成を曖昧に混ぜないことです。
どのツールで、どのプランで、どの規約かを把握しリスクヘッジしましょう。
また、クライアントにもAI画像を使用する場合には事前に下記のような説明をしましょう。
「この画像は生成AIを使っています。
商用利用は規約上問題なく、
特定の既存作品を模倣しない形で生成しています。
ただし、独占利用や商標登録には向きません。」
また自社で生成AIを使う場合のルールを決めておくといいかも知れません。
例えば、下記のようにしておけば自分が把握していないところでスタッフがAI画像をつかってトラブルが起きるリスクを低減できます。
AI画像OK
・ブログ
・コラム
・オウンドメディア
・ラフ・提案資料
AI画像NG or 要相談
・ロゴ
・キャラクター
・企業の象徴的KV
・商標予定デザイン
気軽が故にリスクもはらんでいるのがAI生成

これからAI生成は最盛期を迎えると思います。画像だけではなくコーディングでも活用されていて
エラーを見つけたり、プロンプトのみでゲームをつくってみたりと進化が止まらず予測ができない世界が広がっています。
しかし、AIはあくまで既存の世界に存在する情報や著作物を元に生成しています。
つまり元になるモノを作った人たちへの還元が前提にないといけないと思うんですよね。
今後法整備も整ってきて、うまいバランスの世界になっていくことを願っています!
※この記事は2025年12月23日段階で書かれたものです。内容の整合性については今後かなり変わってくると予想されますのであしからず。





