「WEBサイト制作の料金相場がわからないので見積書が適正かどうかわからない」
「コーポレートサイトなのでどれくらい費用をかけるべきか判断材料が少なく決めきれない」
WEBサイト制作会社さんはたくさんあり、お見積りをいただくとそれぞれに違いがあります。料金はもちろん、挙げられている項目の数が違うこともありますね。
発注する皆さまがWEBサイト制作に慣れていないのは当然のことで、いろいろな項目をみてもその挙げられている項目数自体が適正なのかわからず困ってしまうのもよく理解できます。
お見積り時に撮影のためのカメラマンさんや原稿作成のライターさんを入れますか?と聞かれても決めきれないですし、それが決めきれないから概算の予算も組めない…。特にコーポレートサイトは目標の売上がない場合も多いので最適な予算がはじき出せない、そんなお悩みを持たれている方も多いことと思います。
「WEBサイト制作費用比較」など費用に関係するコンテンツをGoogleで検索してみると、広告も含めて読みきれないほどたくさん見つかります。
【何をやらないかを明確にする〈勝率50%以上へ〉】
(中略)あれやこれやと「やること」を増やすのではなく、まずは何を「やらないか」を明確にしてそれを容赦なく切り捨てます。
人の脳の癖として、やることが多くなると時間やお金が有限であるにも関わらず、「全部完璧に成し遂げなければならない」と考えていってしまうとのこと。そして分散してしまった脳は決定疲れした状態となり、判断がにぶり、最適な結果を出せなくなってしまう、といいます。
WEBサイト、特に企業のコーポレートサイトは基本的には会社やサービスの未来のためにつくっておくものです。どのWEBサイトも制作費の見積もり段階ではどのようなものをつくれば正解なのか明確な答えは出せません。
それでも現段階で最適だと思われるWEBサイトをつくっていかなければ「WEBサイトも持っていない会社」「検索しても見つからない会社」となってしまうので辛いところなのですが、上記の投資本にも書かれている「選択と集中」をしていくことによって、限られた時間と予算の中で満足いくものがつくれる可能性が上がります。
この記事内では何に集中させればよいか、その項目と理由について解説していきます。何に集中させるかというのは「何に大きく予算を割くか」と同義です。大切なことですので、しっかりとお伝えできるように書いていきたいと思います。
1.WEB制作時のお見積書項目の代表的なもの
この項目も制作会社さんによって多岐に渡りますが、ここでは一般的なもの、主なものをピックアップしてみます。
- 企画
- サイト設計
- SEO対策、マーケティング
- デザイン
- 撮影
- 原稿
- CMS構築(WordPress等)
- コーディング
- スマホ対応
まずどんなWEBサイトをつくるか内容の企画やサイト設計をしていきます。そして競合はどんなサイトをつくっているか・タイトルキーワードはどうするかなど決めていきます。ここまでがベースです。
次にデザイン、撮影、イラストなどによってビジュアルをつくっていき、ページごとにコンテンツ(中身、テキスト)を入れていきます。
WordPressなどのCMSの構築やコーディング、スマートフォン対応を行い、実際のブラウザで適正に閲覧できるようにしていきます。
ここに挙げたものは基本的なもので、どれもなかなか削れるものではないのですが、実は費用と時間を集中させたほうがよいものが2つあります。それが「撮影」と「WordPressの活用」です。
2.撮影に投資するとよい理由
撮影にコストをかけてもよい明確な理由としては、2つあります。
・写真頼ったデザインができる
・写真はWEBサイト制作以外にも使える
写真ありきのデザインにすることで、例えばシンプルなデザインテンプレートを採用したとしても自分たちらしさ、オリジナリティが出しやすくなります。もしかしたらデザイナーさんを入れなくてもよくなるかもしれません。
また、(カメラマンさんとの契約によりますので条件をすり合わせておくことが大前提ですが)WEBサイト以外にも写真を利用したい旨を伝えてから撮影することで、パンフレットやSNSのヘッダー、YouTubeチャンネルなど様々なものに写真が転用できます。WEBサイト以外にも活用できる写真は企業の財産となってくれます。一石二鳥以上のメリットがあると考えられます。
○写真はブランディングになる
ブランドの広告、雑誌の表紙などを見るとわかるように、写真は一瞬でとてもたくさんのことを見ている人に伝えてくれます。こだわった写真を撮ることで、「この写真は○○っぽい」というブランディングにもつながってきます。
もちろんデザインでもブランディングや情報を伝えることはできますが、最近はWEBサイトをスマートフォンやタブレットから閲覧する方も多くなり、小さくてサイズも変動する液晶画面を想定したデザインというのは非常に難しく、見せ方にも限界があります。
写真であればスマートフォン、タブレット側で大きくすることにもユーザーが慣れていますので、見たい写真は拡大してくれます。液晶画面のサイズ変動に負けないデザインバランスを考えるよりも写真サイズを液晶に合わせて調整するほうが簡単(作業がシンプル)なので、そういった部分でも労力を節約できます。
○大きな写真を使うとWEBサイトの接続が重くならないの?
WEBサイトのデータ量はさまざまな理由から少ないほうがよいとも言われます。1つポイントなのは、美しいビジュアルの写真とデータ量の大きさはイコールにならないということです。写真を美しい画質のままデータ量を軽くすることもできますので飲み込み速度が遅いから離脱されてしまうのではというところまでのご心配はなさらなくて問題ございません。
SEO対策としては画像は軽いほうがよいので、最適に圧縮するテクニックを利用する方法もあります。こうした対策には無料で使える画像データの最適化ツールがあります。手間は増えますが、WEBサイト制作時にお願いしておくと対応していただけると思います。
オリジナルの写真があれば、グッと引き締まるWEBサイトデザインをつくれます。逆に写真がなければフリー素材サイトや販売されている写真を使うことになり競合他社とかぶってしまうことも。今はかぶっていなくても今後かぶる可能性も考えられるので、会社の顔となるコーポレートサイトでは、そのような事態は避けていきたいですね。
4.WordPressに投資すると良い理由
WordPressは使用料のかからないCMSです。全世界で多くのWEBサイトで採用されているので、年々使いやすさも増しています。
上場企業の利用CMS調査というものがあり、その中でもダントツの1位がWordPressです。
無料提供ですから破綻などの心配もなく、今後も安定的に使えるものであることは間違いありません。投資先としてリスクが少ないのでオススメです。
構築には費用がかかりますし、レンタルサーバーを準備するなど必要な料金はあります。また、制作後も時折メンテナンスやバックアップが必要などかかる費用はあるのですが、何より本体の使用料がかからないことで制作時にかかる費用を節約できます。
・無料/有料のデザインテンプレートが豊富
・無料/有料のプラグイン(機能拡張アプリケーション)が豊富
写真に投資したほうがよいと書いた段落の内容と少し重複しますが、豊富なデザインテンプレート(テーマ)やプラグインを使い、オリジナル写真中心のビジュアルにしていくことで、制作費の選択と集中ができます。
5.削っても良い項目とその理由
ここまで写真とWordPressの活用に集中して、そのほかの項目は削っていってもよいのではということで進めて参りました。削れる理由をもう一度最後にまとめておきます。
●企画
→コーポレートサイトのため必要情報は社内で絞れるはず
●サイト設計
→こちらもWordPressのデザインテンプレートを使うと基本的な設計ができるので、費用は絞れるはず
●SEO対策、マーケティング
→WordPressはSEOに強いといわれていますので初期段階は基本事項であるキーワードを選ぶなどに絞ってもデメリットは少ないと思われます。
●原稿
→コーポレートサイトは初期段階は社内で原稿作成ができるはず(パンフレットなどからの流用でも)。ただ運用段階で継続してどんなコンテンツを追加していくかは非常に重要なのでサイトオープン後の原稿料はしっかり使ったほうが効果的です。
●コーディング
→WordPressのデザインテンプレートを有効活用。必要な部分、特別なページだけプロにお願いする。
●スマホ対応
→スマホ対応のWordPressデザインテンプレートを選ぶことで削減できます。
それぞれに理由がありますので、安心して制作費用をポイントに絞って集中させてください。ただ初期の制作費用と、それからの運用費用については考え方が異なりますので、また別の記事で運用費用についてのご説明ができればと思っています。
では、ここから写真をメインに使ったデザインに役立つWordPressプラグインを2つご紹介致します。
便利なプラグイン①かっこいいフォトギャラリーが作れる「FooGallery」
写真をトップページに配置するプラグインはたくさんありますが、こちらのプラグイン「FooGallery」はユーザー評価が高く、プロカメラマンも自身のWEBサイトで使っているとの話をよく聞きます。無料版で十分な機能があります。
登録した写真をタイル状に表示する機能を持っています。写真はランダムで、スマートフォンでもきれいに表示が可能。それぞれの画像にリンクを貼ることもでき、サイト内の個別ページに飛ばせます。(アップグレードして有料版にすると動画も選択できます)
例えば製造業であれば製品写真を登録しておいたり、クリエイターの皆様であれば作品や制作事例を載せられます。細かな設定が不要なのが便利なところです。
「インストール>有効」後にマニュアルが表示されます。英語ですが簡単でわかりやすく書かれています。
①写真を選ぶ
②プレビューして好みの見え方に設定していく
登録した写真を複数枚並べる、フレームを付ける、1枚ずつスライドショーにする、ランダムに1枚だけを表示するなどの選択ができます。プレビューしながら設定すると直感的に好みの設定が可能です。
③ショートコードを該当箇所に貼り付ける
サイドバーに自動的にショートコードが出来ているので、コピーして表示させたい箇所に貼り付けたら設定完了です。
写真の入れ替えもすごく楽です。
トップページ以外の、例えば飲食店のWEBサイトであればメニューページなどにも活用できますね。
便利なプラグイン②写真を一括で圧縮できる「EWWW Image Optimizer」
写真の多用による読み込みの遅さやSEOへの懸念がある場合(直帰率が上がる、サイト評価が下がるなど)は、「EWWW Image Optimizer」の活用がおすすめです。
まずインストールして有効後、「左メニュー>サイドバー>EWWW Image Optimizer」へ進み、「Stick with free mode for now(無料で使う)」を選択。その後初期設定します。
ただ、かなり機能が絞られたプラグインなのでほとんど触らなくてOKです。「基本」メニューの項目のチェック確認をします。
・メタデータを削除
・遅延読み込み
などが初期設定でチェックが入っていると思います。それ以外は基本的に触らなくて問題ありません。これだけで画像が最適化されますので、写真が多くなる懸念があれば入れておきましょう!
客観的にどう変わったか確認したいときは、WEBサイトのパフォーマンスはGoogleのツールを使うことで測定できます。過去記事「GoogleのSEOツール「Lighthouse(ライトハウス)」のPerformance項目を日本語解説」に詳しく書いています。
表示速度の改善については過去記事「WordPressのページ表示速度の改善に効果があったプラグイン3つ」もご活用ください。
まとめ
非接触で情報発信ができるWEBサイトの活用は、今後もどんどん進んでいくと考えられます。ユーザー様も調べられるものはネットで調べよう、買えるものはネットで買いたい、カタログなどもネットで見られるならすぐ見られて便利、と考え方もずいぶん変わってきています。
企業のコーポレートサイトの重要性は今後も上昇してきます。新規制作だけでなくリニューアル時も制作費の選択と集中は大切だと思います。皆様の貴重な利益を最適な箇所にかけていただき、素晴らしいWEBサイトができることを願っております。