「これからWEB制作会社を選ぶコンペに出るので何とか選ばれたい」
「WEBサイトデザインのコンペに初めて出るのでプレゼンの仕方がわからない」
WEBサイトの制作会社をコンペ形式で決める企業、行政は多くあります。
「複数の制作会社から提案をしてもらい、その中から選びたい」というクライアントの要望によりコンペが開催されるわけですが、提案に行く制作会社さんは準備が大変だと思います。
通常業務の合間に時間をかけてがんばってプレゼン資料をつくったりデザイン案を出したりをするのですから、できるだけコンペでは選ばれる確率を上げたいですね。
そこで今回の記事では、コンペ時における提案内容作りのコツと、それをできるだけ選んでもらえるようにする見せ方のコツについてご紹介します。
コンペに初めて出るので準備をどうしたらいいかわからない、なかなか提案が通らないので困っているという方もいらっしゃると思いますので参考になれば幸いです。
○WordPressサイト制作のコンペで通る提案をするために
コンペ用提案資料作りのステップは大きく分けて7つあります。
1.課題と解決案の整理
2.企画提案
3.デザイン案作り
4.CMS、サーバー、ランニングコストの説明
5.スケジュール、制作フロー
6.チームメンバー編成
7.予算
それぞれのステップに分けて、具体的にポイントをご説明していきます。
実際の制作とは違う、コンペならではのポイントがあります。
CMSについてはオリジナルで作らなければならないなどの大規模案件もありますが、今回はいちばん多くのWEBサイトで活用されているWordPressを使う提案をするという前提で進めます。
また、コンペの決裁者がWEB制作に長けていない場合も多いため、最大のポイントは「わかりやすいこと」「具体的にイメージしやすいこと」の2点です。そのポイントに添って、以下の7つのステップごとにコツをご紹介します。
1.課題と解決案の整理
コンペの評価シートに多く盛り込まれているのが、「これから制作する物(WEBサイト)によって自社の今抱えている課題が解決するかどうか」という項目です。
コンペは”良いWEBサイトを作ってほしい”という依頼ではなく、課題をどう解決するのか具体的に方向性とその手法を提案してほしいという依頼だと思うと、提案書類のクオリティが上がります。
そこで、そのクライアントが現状でどんな課題を抱えているのか?を発見し、その課題に対して解決できる提案をしていきます。課題は依頼書内に盛り込まれていることも多いので、依頼書の文脈をしっかり読み解いたり、その企業・行政の現状をリサーチしたりして見つけていきます。
例えば、よくある課題をピックアップすると以下です。
・行政=誰にとっても使いやすいか
・民間企業=集客できるか、売上や問い合わせが増えるか
それに+アルファ、個別に抱える問題が付いてきます。
最終的に「この○○の課題を解決するため、このようなデザインとコンテンツのWEBサイトを作るのが最適と思われます」という提案ができればベストです。
○提案書(プレゼン資料)への書き方
課題や解決案の裏付けを見せるため、発表されているデータを引用すると説得力が増します。
○オリジナリティのある企画=自分たちのこれまでの実績を生かした企画
これまでの活動歴・業務実績を生かした企画提案をすると、「確実に実行できる」ことが伝わるため説得力が増します。
例えば、「これまで子ども向けのYouTubeチャンネルの企画・立ち上げに多く関わってきました。代表作は○○○です。その経験を生かして集客につながる動画コンテンツを作るほか、未来の料理人を見つけるコンテストをサイトオープン時に開催し、WEBサイトスタート時の集客につなげます」などと発表します。
新しい企画で課題解決につなげることをアピールするだけでなく、これまでの実績も自然な形で知らせることができ、印象をアップさせられます。
3.デザイン案作り
いちばん肝になるのがデザイン案です。
WEBサイト制作のコンペに出る方々であればWEBデザインのラフ案作りは問題ない作業だと思います。ポイントは、できるだけ多くのページのデザイン案を持っていくことです。
・トップページ
・Aboutページ
・ブログページ(お知らせなど更新するページ)
・企画ページ
定番ページ+提案したオリジナルページはクライアントが見たいページなので、ほぼ必須といえます。
デザイン案に入れる写真はもちろんダミーですが、できる限りイメージが近いものを時間をかけて選んだほうが良いです。提案時に「プレゼン資料をパッと見た第一印象」で大きく結果は変わってきます。「写真やロゴはダミーですので…」といっても、実際にそのクオリティの素材が使われると思われてしまいますので、写真選び等はぜひ慎重になさってください。
そのほかに、サイトマップ、レイアウト案(複数)もあると完成図をイメージしてもらいやすいです。
○デザインの提案のポイント
・「オフィスカジュアル」「大人ガーリー」「クリーンナチュラル」など2語でテーマを表現
・仕上がりイメージに近いテイストの雑誌やカタログを持参する
・セキュリティ
・ランニングコスト(費用)
・更新のしやすさ
などの面から、選定を判断した理由と、それぞれのメリット・デメリットを発表します。
セキュリティ面を含めWordPressの公式サイトにも情報があります。制作事例も多数紹介されています。これらを引用しながら提案すると説得力が上がります。
もちろん、WordPressで制作した場合はメンテナンスも必要ですし、サーバーの準備も必要です。サーバーはどうなるか、保守体制なども伝えていきます。
5.スケジュール、制作フロー
どのような手順で制作を進めるか、実際にはコンペ時点では全く決まっていないです。最終納期くらいしか決まっていないかもしれません。それでも、「仮に私たちに決定したら”このように進めたい”」と伝えます。
・どれくらい初稿提出や一回の修正に時間がかかるか
・どのような流れで、それぞれの工程に何人くらいが制作に関わるか
クライアントの設定する納期に間に合うスケジュールで制作できる信頼感や、どれくらいの工数になるかなどをしっかり伝えます。
実際に制作が始まるとクライアントチェック等が挟まるので予定通りに進まないと思いますが、通常の制作が始まると過程して仮スケジュールを組み立てます。
ツールの画面を使って進行管理のイメージを伝えると印象もアップします。
「正しく納期内に制作ができる」と安心してもらえるよう、仮のスケジュールを図表やツールページで作って提案していきます。
6.チームメンバー編成
どんなメンバーが関わる予定なのかチーム紹介をするときには、実名・肩書を出して具体的に紹介します。ライターやカメラマンなど社外メンバーをブッキングするときには、(仮)として発表します。
地域密着型企業や行政に対するプレゼンであれば、できればそのエリアに精通するチームスタッフが一人でもいるほうが好印象を持たれやすいです。
「このような構成でチームを組みます」とスライドを準備すると丁寧です。
7.予算
さて、ここまでどんなに良い企画を提案し、安心感を持ってもらえる丁寧なプレゼンをしたとしても、予算が合っていなければ採用されません。クライアントが想定する予算内で、どれだけのことができるか、最適なものを提案する必要があります。
ただ、「予算は提案内容に合わせて設定する」「制作金額○○万円で提案してほしいが追加予算の検討も可能」といった漠然とした予算を提示されている場合もあります。その時は、実際に制作条件としてクライアントから出されたものを最低限額で制作する提案内容にします。「できるだけ制作費がもらえるように、大きめ規模の提案にしよう」と思わないことです。
やはり見積額も最初の印象が肝心です。
安すぎるのも双方にとって良くないですし、提案資料の通りに制作した場合にかかる費用を算出します。盛らず、下げすぎず算出し、あとはクライアントに任せます。どうしてこの費用になったか、伝わっていれば、例えば少し費用が想定よりかかったとしても納得して選んでもらえるかもしれません。
まとめ
コンペはビジュアルも提案書も作らなければならないため大変な作業です。
できるだけ提案が通るよう、具体的で丁寧なプレゼンをぜひ行ってみてください。
また、もしコンペで通らなかったとしても、社内で「どんな提案をするか」考えることは新しい刺激になるため、「ダメージばかり受けてしまった。時間の無駄だった」ということもありません。課題に対して皆で考えることは、何かを得るきっかけにもなるはずです。
新しい受注のために、この記事の内容が少しでもお役に立てば幸いです。