今回の記事では、Webサイトを移行する時に発生する作業で、注意すべき点や作業フローをまとめました。
サーバーの引っ越しやドメインの変更など、Webサイトの運営について回る事案であり、対応は緊張感も伴う、なかなか大変な作業です。Web制作の専任者だけでなく、運営に携わっている非エンジニアの方々にも参考にしていただければ幸いです。
Webサイト移行の基礎知識
はじめに、Webサイトの移行に関する基礎知識を確認しておきましょう。
Webサイトの移行が重要な理由とは?
本記事のテーマはWebサイトの移行なのですが、Webサイトの運営においてはかなり重要な作業になります。
「Webサイトの移行が重要なのは、なぜなのでしょうか?」
「しっかりと手順を踏んで、ミスなく行わなければいけない理由は、どこにあるのでしょうか?」
本題に入っていく前に、Webサイトの移行が重要な理由や、間違いなく行う必要性について確認しておきましょう。
成果を左右する!
WebサイトはブログやECサイトなどさまざまですが、そのどれもが目的を持って運営されています。問い合わせの向上や売上アップ、自社サービスのブランディングなど。こういった成果につなげていくことが、Webサイトの重要な役割なのです。
成果を上げるためには、そのためのデザインやコンテンツ、機能を持ち合わせている必要があります。
しかし、もしWebサイトの移転によって問題が起きたらどうでしょう?
「デザインが崩れてしまった!」
「表示されるべきコンテンツが出なくなった!」
「ページ遷移やフォームが正しく動作しない!」
これは非常にまずいですよね。Webサイトの成果を下げることになってしまうかもしれません。
Webサイトの移転を正しく行わないと、上のような問題が出てしまう可能性があります。つまり、成果に左右するのです。
SEOに影響する!
Webサイトの移転は、SEOにも影響します。
SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位に表示されるための施策のこと。SEOによって、検索結果が向上し、それによって検索エンジンからの流入(オーガニックな流入)を増加させることができます。
SEOについては下の記事でも解説していますので、併せて参考にしていただければと思います。
» SEOの基礎知識!検索エンジンが順位を決めている仕組みとは?
Webサイトを移転する場合、ドメインやディレクトリ構造が変わることが往々にしてあります。つまり、WebサイトのURLが変わることが多いのです。
Googleなどの検索エンジンは、URLを基準にインデックスをしています。そのため、URLが変わったことをGoogleに伝えなければ、そのWebサイトのインデックスが途切れてしまうのです。これはSEOにとっては大きなマイナスになります。
一方で、Webサイトの移転がSEOにプラスの効果を出してくれることもあります。
例えば、移転先のサーバーが移転元のそれより高性能だとしましょう。Webページの表示や動作が快適になれば、ユーザーにとっては嬉しいことですよね。SEOにも良い影響が出ることがあるのです。
このように、Webサイトの移転を正しく行うかどうかはSEOにも影響します。SEOにプラスに働く場合もありますし、その逆にマイナスにも影響することもあるでしょう。
セキュリティにも影響する!
Webサイトの移転はセキュリティ面でも重要です。
Webサイトは日ごろから、様々なセキュリティリスクにさらされていると言えます。管理画面への不正侵入やクラッキングの他にも、Webサイトがセキュリティ被害の踏み台にされるケースもあります。
Webサイトを制作する時はもちろんのこと、移転をする場合もセキュリティ対策にはしっかりと取り組まなければいけないということ。
移転の時は見た目や機能だけに注目するのではなく、目に見えないセキュリティも万全にするよう気をつけてください。
Webサイトの移行はいつ必要になる?
ところで、Webサイトの移行はどんな時に必要になるのでしょうか?
よりスムーズな対応をするためにも、またミスなく正しい移行をするためにも、Webサイトの移行が必要になるケースについては知っておきたいところ。
ここでは、Webサイトの移行が必要になる代表的な場面を順に見ていきましょう。
サーバーを移転する時
Webサイトの移行で最も多いのは、この手のケースかもしれません。一つ目は、サーバーの移転です。
Webサイトを制作するには、HTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラムファイルを作らなければいけません。ロゴやバナーなど画像ファイルも必要ですし、MySQLなどのデータベースも必要になることもあるでしょう。
このような、Webサイトを形作っているファイルやデータを置いておく場所がサーバーなのです。
一言にサーバーと言っても、機能や性能、料金など幅広いものがあります。Webサイトの内容や運営方針、予算などの面から、最適なサーバーを選択する必要があります。
しかし、一度サーバーを決めてWebサイトを制作しても、途中で他のサーバーに変更をしたいケースも出てきます。
Webサイトの運営にはコストがかかりますから、より料金の低いサーバーに移転したくなることもあるでしょう。もしくは、順調にWebサイトのユーザーが増えたので、より高負荷にも耐えられる高性能なサーバーが必要になることもあり得ます。
Webサイトの移転は、こういった場合に最も多く発生すると言えます。
ドメインを変更する時
ドメインとは、Webサイトの住所のことです。インターネット上にはWebサイトがあまた存在していますが、ドメインはそれぞれ固有です。ドメインがわかればWebサイトにたどり着けますし、逆にドメインがわからなければページを表示することは困難でしょう。
具体的には、本ページのドメインはkumaweb-d.com
の部分のことです。kumaweb-d.com
とブラウザのURL欄に入力すれば、必ず本サイトにたどり着くのです。
さて、Webサイトを立ち上げるにはドメインを決める必要があります。アメブロやはてなブログなどの無料ブログサービスを使う場合はその限りではないのですが、ドメインはWebサイトごとに決めることが一般的です。
このドメイン、サーバーと同じで変更をすることがあります。サーバー変更よりは多くはないのですが、ドメインを変更するときもWebサイトの移行が必要になります。
SSLに対応する時(http → https)
Webサイトにとってセキュリティ対策は欠かせません。セキュリティを強化する一つの方法として、WebサイトのSSL化があります。
SSL(Secure Sockets Layer)とは、これはWebサイトでやり取りするデータを暗号化する仕組みのこと。
WebサイトがSSLに対応しているかは、URL欄を見ればわかります。URLがhttp://
ではなく、https://
ではじまっていればSSL化されていると判断できます。
Webサイトをより安全にするためにも、SSL化はセキュリティ対策としておすすめです。
さて、WebサイトをSSLに対応するとURLが変わることがわかります。上で見たように、URLの先頭がhttp://
からhttps://
になるからです。
たった1文字の違いなのですが、この場合でも移行が必要になります。
Webサイトを移行する流れ(WordPressの場合)
Webサイトの移行について、基礎知識について見てきました。
さて、実際にはWebサイトの移行はどのように行うのでしょうか?サイトの作りやCMS利用の有無など、移行の方法や手順はサイトによってさまざまです。ここでは例として、WordPressサイトを移行するときの一般的な流れをご紹介しておきましょう。
WordPressは最もよく使われているCMSのことで、国内外問わずさまざまなWebサイトで利用されています。
WordPressは、さまざまなファイルとデータベース(MySQL)で構成されています。その点を頭に入れながら読み進めていっていただければと思います。
なお、WordPressについて知りたい方は下の記事をご覧いただければと思います。
移行用のファイルを用意する
はじめに、移行を行うサイトのファイルを準備しましょう。
用意したファイルはもちろん、移行先のWebサイトを立ち上げるためのものです。加えて、移行が上手くいかなかった時のバックアップにもなるので、移行作業の間は大事に保存しておいた方がいいでしょう。
WordPressの場合は、ファイルとデータベースが必要になります。順に見ていきましょう。
ファイル
WordPressは非常に多くのファイルから構成されています。例えば、WordPress本体のファイルや設定ファイル、プラグイン、テーマ、画像などがあります。
これらのファイルを移行することになるので、まずはローカルにダウンロードしておきましょう。FTPソフトを使ってファイルをダウンロードしてもいいですし、移行前のサーバーにファイル管理機能があればそれを使ってもOKです。
データベース(MySQL)
次はデータベースの内容です。
データベースに格納されている情報は、phpMyAdminなどのツールを使ってエクスポートすることができます。ファイル容量をセーブしたい場合は、zipなどの圧縮形式を使っても大丈夫です。
サーバーを用意する
Webサイトにとって必要なファイルやデータベースを格納しておくのが、サーバーです。
移行とは、言わばWebサイトの引っ越しです。サーバーがないということは、引っ越し先の家がないのと同じ。移行を始めるには、はじめにサーバーを準備してください。
サーバーを用意する方法は、大きく分けて2つあります。一つは、自前でサーバーを立ち上げる方法。もう一つは、レンタルサーバーなど既存のサーバーを利用する方法です。自前でサーバーを立ち上げるケースの方が少ないと思いますので、ここからはレンタルサーバーを使うものとして話を進めていきましょう。
さて、レンタルサーバーを用意するにあたって知っておかなければいけないことがあります。レンタルサーバーはものによって、性能と機能が異なるのです。移行するWebサイトの内容や求める性能、予算などによって、選ぶべきサーバーも異なってくるということ。
WordPressで考えてみましょう。WordPressはPHPで動作するため、レンタルするサーバーもPHPが使えなければいけません。また、データベースとしてMySQLが必要になります。
その他にも、セキュリティやサポートの有無、提供されている機能を考慮しながら、サーバーを選ぶようにしてください。
独自ドメインの設定をする
サーバーが準備できたら、最初に独自ドメインの設定をします。独自ドメインの設定方法は利用するサービスによって異なるので、ここでは割愛します。
なお独自ドメインの設定を行うことで、ファイルをアップロードするディレクトリが作られます。WordPressのファイル一式は、そのディレクトリにアップロードすることになります。これについては後述します。
データベースを作成する
新しく用意したサーバーに、データベース(MySQL)を作成します。
WordPressの場合、アカウント情報やページ内容、設定など、あらゆる情報がデータベースに格納されます。データベースはWordPressサイトごとに必要です。WordPressサイトが3つあれば、3つのデータベースが必要ということになります。
データベースを作成するには、上でも出てきたphpMyAdminを使う方法が便利です。先ほど移行前のサーバーからデータベースをエクスポートしましたが、それをインポートするのがこのデータベースになります。
データベースをインポートする
移行前のサーバーでエクスポートしたデータベースを、移行先のデータベースにインポートします。
phpMyAdminにはインポート機能が備わっているので、そこから先ほどのデータベースファイルをインポートすればOKです。
wp-config.phpを書きかえる
データベースが準備できたら、次はファイルをアップロードします。とその前に、一つだけやっておくことがあります。wp-config.phpの編集です。
wp-config.phpとは、WordPressの設定情報が書き込まれている重要なファイルです。WordPressには必ず含まれているファイルなのですが、エンジニアでもなければご存じないかと思います。
wp-config.phpは、WordPressのフォルダの一番浅いディレクトリにあります。wp-adminやwp-contentなどのフォルダと同じ階層です。
まずは、wp-config.phpをテキストエディタで開いてください。スクロールをしていくと、下のような記述が見つかるかと思います。
/** WordPress のためのデータベース名 */ define('DB_NAME', 'test_database'); /** MySQL データベースのユーザー名 */ define('DB_USER', 'test_user'); /** MySQL データベースのパスワード */ define('DB_PASSWORD', 'test_password'); /** MySQL のホスト名 */ define('DB_HOST', 'host_name);
この内容を、移行先のサーバーで作成したデータベース情報に書きかえてください。データベース名とユーザー名、パスワード、ホスト名の4ヶ所です。
データベーステーブルのプレフィクスも変更している場合は、下の部分も併せて変更しておくようにしてください。
/** * WordPress データベーステーブルの接頭辞 * * それぞれにユニーク (一意) な接頭辞を与えることで一つのデータベースに複数の WordPress を * インストールすることができます。半角英数字と下線のみを使用してください。 */ $table_prefix = 'wp_';
以上の部分を書きかえたら、ファイルを保存します。これでファイルをアップロードする準備が整いました。
ファイルをアップロードする
Webサイトのファイルを移転先のサーバーにアップロードします。FTPツールを使うか、レンタルサーバーが提供しているファイルアップロードなどの機能を使ってもいいでしょう。
なお、アップロードする先のディレクトリはサーバーによって異なります。公開用のディレクトリが指定されているはずなので、そこにアップロードするようにしてください。
※上で独自ドメインの設定を行いましたが、これを先にやっておかないとアップロードをやり直す必要が出てきます。アップロードするデータ量はそれなりに大きいです。二度手間にならないよう、独自ドメインの設定を先にやっておくことを忘れないようにしましょう。
DNSの設定変更
上で独自ドメインの設定を行いました。移行先のサーバーで独自ドメインを機能させるために、DNS(ネームサーバー)の設定変更を行ってください。
DNSの設定変更は、ドメインを管理しているサービスの機能として提供されているはずです。
※DNSの設定変更は、すぐには反映されません。数時間ほどかかることもあるので、独自ドメインが通まで待ちましょう。もちろん、DNSの設定変更が反映されるまでWebサイトは表示されません。
サイトの動作確認
ここまでで、Webサイトの移行はおおかた完了したと言えます。細部を手直しする前に、サイトの動作確認をしておいてください。
Webサイトが正しく表示されれば、とりあえず移行はひと段落と言っていいでしょう。
ただし、ページが表示されたから終わりではありません。細部の手直しとしてやるべきことはいろいろと出てきます。
内部リンクの整備や画像の表示確認、外部サービスの設定変更など。こういった作業はついつい忘れがちなので、よくある注意点としてまとめてあります。
うっかり忘れがち!Webサイトの移行で確認したい注意点6つ
最後に、Webサイトの移行で注意すべきこととして6つの項目を取り上げましょう。
Webサイトの移行をする時の事前知識として、もしくは移行後のチェック項目としてご活用いただければと思います。
移行前の状態を確認してあるか?
Webサイトの移行をはじめる時に、忘れずに行っておきたいことがあります。それは、現状の確認です。
Webサイトを移行する場合、移行前と後で見た目や機能に違いがあっては困ります。そうなのですが、移行前後で違いが見られることは思いのほか少なくありません。
なぜそういったことが起きてしまうのでしょうか?
主な原因をあげてみると、一つは人為的なミスがあります。もう一つ。移行前後のシステム環境が異なることが要因になっていることがあります。サーバーの機能やインストールされているツールなどのことですね。
いずれにしても、こういった違いを漏れなく見つけるために、移行前の状態はくまなくチェックしておくべきです。
デザインや機能、コンテンツなどのチェックリストを準備しておいてもいいでしょう。仕様書などのドキュメントがあるのであれば、移行前に目を通しておくといいでしょう。
内部リンクは全て修正したか?
Webページにはさまざまなリンクが表示されているかと思います。いくつか例をあげてみましょう。
- トップページへのリンク(ロゴ画像など)
- グローバルナビゲーション
- パンくず
- サブメニュー
- 関連記事
- 人気記事
- サイトマップページ
これ以外にも、コンテンツ内のリンクなどページのあらゆる場所でリンクが使われているかと思います。Webサイトの移行に伴ってURL変更があった場合は、これらの内部リンクは全て新しいものに直さないといけません。
うっかり直し忘れている内部リンクがあると、いわゆるリンク切れができてしまいます。
リンク切れとは、リンクURLが間違っていたり、リンク先のサイトが開けないことを言います。リンク切れがあると、ユーザビリティ低下だけでなくSEOにもマイナスに働くでしょう。
リンク切れがないかを調べるには、下記のようなツールを使うといいでしょう。
WordPressを使っているのであれば、「Broken Link Checker」でリンク切れがチェックできます。リンク切れが発生したらアラートしてくれるので、サイト運営時にも活用するといいでしょう。
» Broken Link Checker — WordPress プラグイン
さて、内部リンクを修正すると言っても、全て手作業で直すのは大変です。
そこで、ここではリンクを修正するオススメの方法を2つご紹介します。内部リンクを修正する時の参考にしていただければと思います。
※なお下記の方法を行う時は、事前にバックアップを取っておくようにしてください。
grepして置換する方法
上で述べたように、手作業でリンクを修正するのは骨の折れる作業です。それだけでなく、人為的なミスも発生しやすいでしょう。
どうすればいいのかと言うと、答えは簡単。自動で行えばいいのです。grepをして置換をするといいでしょう。
grepとは、対象ファイルの中からキーワードを探すコマンドのこと。grep機能の使えるテキストエディタも多いので、非エンジニアでも気軽に使うことができるでしょう。
Atomを例に出してみます。ファイル内から指定したキーワードを探して置換するには、「Command + F」を押します。修正前のリンクURLと修正後のリンクURLを指定して、Enterを押せば置換ができます。複数ファイルからgrepして置換したい場合は、「Command + Shift + F」を使うといいでしょう。
なお、Atomについては下の記事でも取り上げていますのでご参考にされてください。
プラグインを使う方法(WordPressの場合)
Webサイト制作では、WordPressなどのCMSを使っていることも多いことでしょう。リンクの修正に使えるプラグインも出回っているので、Webサイトの移行を行うときには活用したいところです。
WordPressだと、「Search Regex」が有名ですね。
» Search Regex — WordPress プラグイン
Search Regexは全ての投稿をチェックして、指定したキーワードを探して置換してくれるプラグインです。WordPressではデータベースに投稿内容を保存しているので、Search Regexはデータベース内の情報を変更してくれているのですね。
Search Regexを使えば、ブログなどページ数が多いサイトでも一発でリンクが置換できます。
検索や置換の対象を指定したり、一度に置換する上限を設定することも可能です。正規表現も利用できるので、活用できるシーンが多いプラグインと言えるでしょう。
SNSの設定変更は行ったか?
Webサイトの移行では、修正するのはサイトだけでは足りません。忘れがちなのが、SNSの設定変更です。
TwitterやFacebook、Instagramなどのアカウントを作成して、運用している方も多いことでしょう。SNSの投稿にあるリンクを修正するのは割と大変なのですが、アカウントのプロフィールは最低限直すようにしてください。
例えばTwitterの場合、「ホームページ」としてプロフィールにURLを表示できるようになっています。Facebookページでは、「基本データ」内に「ウェブサイト」としてURLの登録ができます。
プロフィールからWebサイトを訪問してくれるユーザーもいるはずなので、こういったSNSの設定内容についても忘れずに変更しましょう。
サービスの移行は行ったか?
Webサイトの移行は、簡単なようで意外にやるべきことが多いです。そのため、以前と同じ見た目にするだけで精一杯になってしまっていることがあります。しかし、Webサイトをデザインや機能が元通りになっても、まだやるべきことはあります。
サービスの移行ができているか、チェックをしてください。
サービスとは、例えばGoogleアナリティクスやサーチコンソールなどのこと。Webサイトの運営では、他にもさまざまなサービスを利用するものです。そういったサービスの移行も、忘れずに行うようにしてください。
さて、ここではGoogleアナリティクスとサーチコンソールを例にあげて、移行の方法を解説しておきましょう。移行を行うときの参考にしていただければと思います。
※ここからは、ドメイン変更やSSL対応などを行った場合、すなわちURLが変わったものとして話を進めていきます。
Googleアナリティクスの移行
Googleアナリティクスは、検索エンジンのGoogleが提供しているアクセス解析ツールです。
» Google アナリティクス公式サイト – ウェブ解析とレポート機能 – Google アナリティクス
Googleアナリティクスの基礎知識や導入方法は下の記事で解説しています。
» Googleアナリティクスの基本や導入方法、サーチコンソールとの連携方法
» Googleアナリティクスのフィルタの基本と代表的な活用例2つ
さて、Googleアナリティクスを移行する方法を見ていきましょう。変更する場所は2ヶ所あります。
プロパティ設定
まずはプロパティの設定を変更します。
Googleアナリティクスにログインしたら、左側のメニューから「管理」をクリックしてください。
「管理」メニューが表示されたら、「プロパティ」メニューの中にある「プロパティ設定」を選択します。
「プロパティ設定」画面が開きました。
この中から、下記の内容を新しいURLのものに変更してください。
項目名 | 変更する内容 |
---|---|
デフォルトの URL | URLを変更します。SSLを行った場合は、http:// からhttps:// への変更も忘れずに行いましょう。 |
設定できたら、画面下の「保存」ボタンを押してください。これでプロパティの設定変更は完了です。
ビュー設定
次は、ビューの設定です。
同じく「管理」の画面から、「ビュー」のメニューにある「ビュー設定」を選択してください。
「ビューの設定」ページがひらきました。
下の項目を変更します。
項目名 | 変更する内容 |
---|---|
ウェブサイトの URL | URLを変更します。SSLを行った場合は、http:// からhttps:// への変更も忘れずに行いましょう。 |
上の項目が変更できたら、ページ下の「保存」ボタンを押してください。
これでGoogleアナリティクスの移行は完了です。
サーチコンソールの移行
サーチコンソールは、Googleアナリティクスと並んでWeb運営では必携とも言えるツールに数えられます。GoogleがWebサイトの運営者向けに提供しているツールで、サイト運営やSEOに役立つ便利機能がたくさん備わっています。
» Google ウェブマスター – サポート、学ぶ、つながる、Search Console – Google
サーチコンソールの基本や導入方法については、下の記事でも詳しく解説しています。よろしければ併せてご覧いただければと思います。
» Googleサーチコンソールの基本と代表的な機能、導入手順まで
» アクセス解析の基本!検索アナリティクスの使い方(Googleサーチコンソール)
それでは、サーチコンソールの移行方法について見ていきましょう。
GoogleアナリティクスではURLを変更することで対応できましたが、サーチコンソールの場合は少しだけ面倒です。プロパティを新しく作り直す必要があるのです。
詳細は省きますが、プロパティとは言わばWebサイトのことです。Webサイトを移転するなどしてURLが変わった場合は、新しいWebサイトとして新規に登録し直すということ。
加えて、いくつかやっておかなければいけないことがあります。主なものをリストアップしておきましょう。
- プロパティの追加(新規作成)
- 所有権の確認
- sitemap.xmlの送信
- インデックスの促進
基本的には新規にサイトを立ち上げた時の作業と同じと言って差しつかえないでしょう。方法については、下の記事を参考にしていただければと思います。
» Googleサーチコンソールの基本と代表的な機能、導入手順まで
移行前のサイトは削除したか?
サーバーを変更した時によくある失敗として、移行前のサイトがそのまま残っていることがあります。
古いサイトがそのまま残っているのは、まずセキュリティ面から良くないことです。そういったWebサイトはおそらく管理されていないでしょうし、ツールの更新などもされていないはず。
万が一サイトに脆弱性があれば、第三者にサイト内容を覗かれたり、改ざんされたりする危険性も考えられます。さらなるセキュリティ被害の踏み台にされてしまう可能性もなくはないでしょう。
移行を終えたら、移行前のサイトは必ず閲覧できないように制限をかけておくようにしましょう。また特段の理由がなければ、移行前のサイトは閉鎖した方が無難です。
不要な契約は解除したか?
移行の前後では、サーバーやドメインなど新しい契約を行うことも多いです。つまり、移行前の契約は必要なくなるケースがほとんどなのです。にもかかわらず、放置されているなど不要な契約がそのまま残っているケースが案外多いです。
セキュリティの問題もありますし、コストを考えても良くないことです。契約が残っていると、必要もないのに月額料金などのコストが加算されていくことになります。
移行を行ったら、不要な契約が残っていないか必ずチェックするようにしましょう。
あとがき
Webサイトの移行をテーマに、基本的な知識や移行の手順、注意すべきポイントについてご紹介しました。
Webサイトを運営しているのであれば、いつかは移行が必要になることもあります。まだその予定がなくても、いざというときのために準備しておきたいところ。記事でご紹介した内容はどれも重要なので、Webサイトの運営にあたって頭に入れておくといいでしょう。