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無料ツール「Clarity」の日本語訳と使い方を解説してみた

Microsoft社が無料で提供する、ユーザー行動分析ツール「Microsoft Clarity(マイクロソフト クラリティ)」が非常に高機能で使いやすいとSNSで評判になっています。


https://clarity.microsoft.com

法人・個人関係なく、また、ページビュー数に関わらず、無制限で無料で使うことができます。データは3ヶ月間しか保存できないと決まっていますが、無料で機能が制限されないありがたいツールです。

主な機能はWEBサイト上でユーザーがどのように行動したかがわかるヒートマップと、個々のユーザーの動きを録画して再現してくれるレコーディング機能です。1つのアカウントで複数のサイトのデータ取得ができます。

マーケティングに使うのはもちろん、WEBデザインの改修前の分析にも使えるため幅広い目的で利用できます。1つのアカウントに複数のWEBサイトを登録することも可能。無料でありながら、大変優れた機能が備わっているので、今後はGoogleAnalyticsと並んで導入する2大ツールになるのではと注目を集めています。

【利用方法】
1.トップページからサインアップ
2.計測するWEBサイトを登録
3.GoogleAnalyticsと連携
4.計測タグをWEBサイトに埋め込む

計測を開始するには上記4つの登録作業が必要です。
お持ちのアカウントを登録していくだけでとても簡単です。すぐスタートすることができました。計測タグを埋め込んでから、1時間ほどで計測がスタートし、結果を見ることができました。

ヒートマップの画面は直感的に操作することができます。また、クリックされているところがどこなのかは一目見てわかる仕様なので、それほど解読が難しいということはありません。

ただ、Dashboardはまだ日本語化されておらず、少し分かりづらいと感じる方が多いと思います。そこで今回は、Dashboard(ダッシュボード=管理画面)の使い方、その内容について、項目ごとに解説していきます。

【ClarityのDashboard機能】
ClarityのDashboardでは、主にWEBサイト全体の訪問者の詳細やユーザーの動きを確認できます。チェックできる項目は15個あります。

GoogleAnalyticsと連動しているので、同じような項目があるのですが、GoogleAnalyticsよりかなり直感的に見やすくデザインされています。クライアント様に見せる報告書などにそのまま掲載できる位、洗練されたデザインです。

それでは一つずつ、どんなチェック項目なのか解説していきます。

1.Sessions(訪問数)

WEBサイト全体のセッション=訪問数がわかります。
左側の数字が合計、右側の数字が個別のユーザー数です。

●Total sessions=トータルの訪問数
●Distinct users=個別のユーザー数

アクセス数の確認に使う項目です。
リピーターが多ければ、個別のユーザー数は合計より少ない数値となるはずです。

2.Pages per session

平均的なユーザー、一人が訪問したときに表示したページ数です。

この数値が大きいほど、1ユーザーがたくさんページを見たということになります。ページの回遊率を高めたいときは、しっかり確認すべき指標となる数値です。

3.Scroll depth(読了率)

ページがどれくらい深くスクロールされたか確認する項目です。

1ページの最上部から、何%くらい下までスクロールされたかがわかります。例えばとても長いランディングページをつくっていたとして、実際に内容が最後まできちんと読まれているのか?どれくらい読まれているのか?チェックできます。

一般的には【読了率】とも呼ばれます。
WEBサイトで読了率や滞在時間を上げる工夫をされている方は改善の兆しが見えているか継続的に確認したい項目ですね。

4.Time spent(滞在時間)

ページの滞在時間がわかります。

active(アクティブ)と、inactive(非アクティブ)の違いは、タブブラウザ等で前面に来て操作している状態がactive、それ以外のタブがinactiveです。

5.Dead clicks(クリックできなかった)

訪問者さまがリンクでない箇所をクリック(タップ)してしまったパーセンテージがわかります。

WEBデザインでリンクの色が分かりづらかった、リンクのようでリンクでなかったなどの箇所の発見につながります。

このClarityでは、ユーザーがリンク以外の場所をクリックしたときの動きが録画されているので、グラフ下の<Recordings>ボタンをクリックすると、どこをクリックしてしまっていたのか動画で確認できます。

ただスクロールのために押しているのか、リンクやバナーと間違って押しているのかが確認できるので、すぐに改善に役立てることができます。

6.Excessive scrolling(速いスクロール)

訪問者さまによる高速スクロール、上下のスクロールを何度も繰り返しているなどの行動が検出されています。

探しに来た情報が見つからない、ページのどこに何が書かれているかわからないなどの気持ちが読み取れます。

こちらも検出された場合は、↑上記項目と同じく<Recording>ボタンが出てきて、動画で確認できます。

また、複数枚の写真のスクロールなどもExcessive scrollingとして検出されるようです。録画を見てみると「気にするべきスクロール」だったのか「気にしなくてよいスクロール」なのかも明確にわかるところが便利です。

7.Referrers(リファラー)

こちらはどのページから移動されてこられたかチェックできる項目です。
アクセス解析をよくご覧になられる方であれば、定番ですね。

このグラフ以上に情報量があり、例えばGoogle検索からアクセスされたURLはどれが多いか、その人たちの行動のヒートマップは、など直感的にどんどん深く情報を見ていくことができます。

SNSからの訪問者さまがとる行動と、検索エンジンからの訪問者さまとに違いがあるのかなどパッパッと直感的に見ていけます。

8.Devices(デバイス)

どのような端末からアクセスされているかがわかります。

一般的にはMobile(スマートフォン)からの訪問が増えてきているといわれていますが、皆さんのWEBサイトではいかがでしょうか。端末ごとにユーザーの動きが録画されているので、スマートフォンから操作はしやすいか、パソコンとスマートフォンでは行動に違いがあるか?など見える化されます。

WEBデザインのリニューアルを考えておられるのであれば、デザイナーさんと録画データをシェアすることによって、よりよいアイデアや工夫が生まれそうです。

9.Rage clicks(同じ箇所のクリック)

狭いエリア、ほぼ同じ箇所を何度もクリック(タップ)しているなど、訪問者さまの苛立ちとも言える行動が確認できる項目です。

クリック(タップ)し辛い、それぞれの領域が近くてなかなか目的の箇所を押せないなどが想像できます。こちらは検出されたらすぐ改善するのがベストですね。

10.Quick backs(すぐ離脱)

アクセスしてきた訪問者さまがすぐにページを移動してしまった場合の割合が出ています。

アクセスしてきたのに前のページにすぐ戻ってしまったなどの行動が多く確認できるのであれば、内容を見直したり、ナビを見直したりする必要があります。

11.JavaScript errors(ジャバスクリプトのエラー)

ページ内に導入されているJavaScriptでエラーが出ていれば検出されます。

プログラムを組んで開発したページであれば、不具合が出ていないかどうか、この項目をしっかり確認する必要がありますね。WEBページが読み込まれていないなどのエラーが出ていれば致命的なので、早急に対応が必要なことがわかります。

12.Operating systems(利用OS)

iPhoneなどiOS端末の訪問者さまが多いのか、Androidが優勢なのか…がひと目でわかります。

2021年現在の調査では、「『iPhone』が41.0%、『Android』が45.8%」という結果が出ています(MMD研究所調べ)。

WEBサイトでターゲットとしている層がどちらのOSの利用者が多いか目処を立てておくと、実際の訪問者さまのOSとズレが大きければ「もしかしてターゲット層の想定が違っているのでは」と予測が立てられます。とてもマーケティングに役立つ項目です。

13.Popular pages(人気ページ)

どのページへの訪問が多いかランキング形式でわかります。

人気ページのランキングはどのアクセス解析でも見られるかもしれませんが、人気のページのヒートマップを見よう、そのページで訪問者さまがどんな動きをしているか見ようと思った時に、グラフの横のアイコンをクリックするだけでよいというのはすごく作業の時短になります。

検索エンジンからの流入が多いWEBサイト、WEBメディアではどのページが人気になるのか読めない部分もありますから、ひと目で直近の3日間、7日間のランキングが見られるのは助かりますね。

14.Browsers(利用ブラウザ)

訪問者さまの利用ブラウザがわかります。

スマートフォンからの訪問はMobileのブラウザになるのでわかりやすいですね。
ただOtherも多く出てしまいますが、このOtherにはEdgeやIEの利用者さんが多く含まれると思われます。

2021年の日本国内ブラウザシェア調査では、Chrome、Edge、IEなどが多いとされていますが、この↑解析しているWEBサイトではSafari利用が多くなっていますね。そのため、EdgeやIE利用者がOtherにまとめられてしまっているようです。このOtherをクリックするともう少し詳細な結果も見られます。

訪問者さまの利用ブラウザはWEBサイトのコンテンツによって随分変わります。Clarityでは、ページごとに細かく解析した結果が見られるので、このページはこのブラウザ利用が多い、こちらは別のブラウザが多いなど見ていくととても面白いです。

15.Countries(国別集計)

最後の項目は、国別のアクセスがわかります。

↑こちらのWEBサイトでは、United States(アメリカ)が多いですね。
本当にアメリカからの訪問が多いかというと、クローラーやスパムなどの影響も考えられます。そのほか、VPNやプロキシなどサーバーの影響ですね。

もし海外からのアクセスが急増した場合は、スパムなども考えられます。
スパムの場合はアクセス解析画面からアクセス元のWEBページを開くと危険なことがある可能性もありますので、急激な増加があれば、安易にリンクを辿らないなど慎重に行動してください。

以上、15項目がClarityのダッシュボードで確認できる項目でした。
このほか、ヒートマップのページと、レコーディング(録画)のページがあります。全て無料で、わかりやすくつくられているので、とても有益なツールと言えます。

まとめ

データ保存期間が現状では最長3ヶ月と限られているとはいえ、十分な解析結果が見られるClarity。訪問者さまの行動録画は、これまで有料のツールを入れた場合はかなり高額でした。それが無料なのは本当にありがたいですね。

マーケティングだけでなく、デザインやコンテンツの改善など、幅広く利用できるツールです。クライアント様のWEBサイトに導入すれば、必ず役に立つと感がられるので、ご提案されてみてはいかがでしょうか。